ベレン地区は広々としており、一際、人々が集まっている場所であるように思える。イメージとしては、日本で言えば横浜の山下公園付近と大変によく似ている。海沿いにはベレンを横切るメインストリート、インディア通り(Avenida da India)が走っており、それを超えたところには大きなテージョ川が流れている。このテージョ川はリスボン付近では、全くもって海辺と見紛うばかりの川幅を持っている。川辺では釣りをしている人もいれば、ジョギング、サイクリングを楽しんでいる人、ペットの犬の散歩をしている人等がいる。インペリオ広場(Praca do Imperio)付近は緑で覆われた公園になっており、人々にとっての憩いの場になっている。近くには有名な発見のモニュメント(Padrao dos Descobrimentos)がある。駐車している観光バスの多さも目立つ。
海辺・・・、いや川辺を更に西に数百メートル進むとベレンの塔(Torre de Belem)がある。塔にでも登って景色を楽しもうかと思いきや、如何に国民の祝日とはいえ、ここは無料にはなっていなかった。残念。
テージョ川縁の散策を楽しんだあと、少し内に入ったところに、世界最高峰の芸術性を誇る壮大な大理石と石灰岩の建物、ジェロニモス修道院(Mosteiro dos Jeronimos)がある。ここの修道院のスケールの壮大さは、リスボンでもぴかいちである。嘗て、ポルトガルは、大航海時代の先駆者として海上交易で大きな富を稼ぎ出したが、その大繁栄振りの名残でもある。建築するのに100年以上もかかったとも言われる。ここの建築物の特徴の凄さのひとつには、回廊や中庭にめぐらされているひとつひとつの柱のデザインが異なっているということだ。ここまで凝った建築物はヨーロッパ全土を見渡しても決して多くはないだろう。ひとつひとつに趣向が凝らされているからこそ、見ていて飽きない。この時期のリスボンは、如何に雨季に入ろうとしているとはいえ、やはり暑い。日差しが厳しい。しかし、この修道院の中に入った途端、そこの場所だけ気温、室温が著しく低いように感じられた。或いは、湿度がもともと低いせいか、建物の中に入ってしまえば涼しく感じるのかもしれない。石造りの建物というといかにもいかつい感じがするが、大理石と石灰岩で造られたこの修道院の中は、意外と風通しがよく、外界の太陽熱をうまく遮断した、居心地のよい場所になっている。しかも大理石は冷たくて気持ちがよい。絶好の昼寝場所である。
大聖堂もまた大空間であった。上階には生々しいキリストの十字架像がほぼ実物大で掲げられている。裏手には12使徒の大きな肖像画が掲げられている空間がある。蝋でできているのだろう、聖書のある場面を表現した造形物もあった。ポルトガル最大の詩人といわれるカモンイス(Luis Vas de Camoes)や大航海時代の英雄であるヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)の石棺が安置されている。この修道院には、実に色々な見所がある。
<ジェロニモス修道院の建築を命じたマヌエル一世>
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